「危険物取扱者乙4の合格率って30%くらいって聞いたけど、そんなに難しい資格なの?」
会社から取得を勧められた、資格手当が欲しい、転職に備えたい
理由はさまざまでも、乙4の受験を検討し始めた方が最初にぶつかるのが、この「合格率」への不安ではないでしょうか。
ネットで調べると「合格率30%台」「3人に1人しか受からない」といった情報が出てきて、「化学が苦手な自分でも本当に受かるのだろうか」と腰が引けてしまう方も少なくありません。
結論からお伝えすると、乙4の合格率は他の乙種と比べて低めなのは事実ですが、それは試験そのものが極端に難しいことを意味しません。
合格率が低く見えるのには明確な理由があり、出題範囲を絞って効率よく対策すれば、初心者でも十分に合格を狙える資格です。
この記事では、乙4の最新の合格率から、合格率が低くなる理由、他の危険物資格との比較、そして合格するための具体的な勉強法まで、順を追って解説していきます。
危険物取扱者乙4試験の概要
まず前提として、乙4の試験構成を確認しておきましょう。
乙種第4類は、ガソリン・灯油・軽油・重油といった引火性液体を扱うための国家資格で、受験資格の制限がなく誰でも受験できます。
試験科目は次の3科目で、合計35問・試験時間2時間のマークシート方式です。
- 危険物に関する法令(15問)
- 基礎的な物理学及び基礎的な化学(10問)
- 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(10問)
合格基準は「各科目60%以上の正解」です。ここが乙4の合格率を考えるうえで重要なポイントで、3科目の合計点ではなく、3科目すべてで6割を超える必要があります。
つまり、法令は得意でも物理・化学が苦手なまま挑むと、そこだけで不合格になってしまう仕組みです。
乙4の最新の合格率
一般財団法人 消防試験研究センターが公表しているデータによると、直近の乙4の合格率は次のとおりです。
- 令和6年度:受験者223,846人に対し、合格率31.7%
- 令和7年度:合格率31.9%
ここ数年は31〜32%台で推移しており、「3人に1人が合格する試験」という状況は概ね続いています。
数字だけを見ると厳しく感じるかもしれませんが、後述する理由から、この数字を額面どおりに「難関資格」と受け取る必要はありません。
乙4の合格率の推移(過去数年間)
年度によって合格率がどう変化してきたか、直近の推移を表にまとめました。
| 年度 | 合格率(目安) |
| 令和2年度 | 38.6% |
| 令和3年度 | 38%前後 |
| 令和4年度 | 31.9% |
| 令和5年度 | 32.0% |
| 令和6年度 | 31.7% |
| 令和7年度 | 31.9% |
令和2〜3年度は38%前後だったのに対し、令和4年度以降は31〜32%台まで下がっています。
これを見て「最近の乙4は急に難しくなったのでは」と不安になる方もいますが、これは出題そのものが難化したというより、高水準だった時期からの調整や受験者層の変化によるところが大きいと見られています。
長期的に見れば、乙4の合格率はおおむね30%台後半〜40%手前のレンジに収まっており、極端な乱高下があるわけではありません。
なぜ乙4の合格率は低いのか
乙4の合格率が他の乙種より低い理由は、主に次の2点に集約されます。
受験者数が圧倒的に多い
乙4は危険物取扱者の中で最も人気があり、受験者数は年間20万人を超えます。
ガソリンスタンド、工場、ビルメンテナンス、物流など、乙4が必要とされる職場が非常に多いためです。
受験者数が多いということは、それだけ「とりあえず受けてみる」「対策が不十分なまま受験する」層も一定数含まれることになり、結果として合格率が押し下げられます。
受験者層の幅が広い
他の乙種(1・2・3・5・6類)は、すでに乙4を持っている人が科目免除で追加取得するケースが多く、いわば「試験慣れした人」が中心です。
一方、乙4は資格試験そのものが久しぶり、あるいは初めてという社会人も多く受験します。
学生時代以来ほとんど勉強していない、化学に苦手意識があるという方が母集団に多く含まれることも、合格率が低めに出る一因です。
つまり、合格率の低さは「試験内容が極端に難解だから」ではなく、「受験者数が多く、対策不足のまま受ける人の割合が高いから」という側面が強いのです。
他の危険物資格との合格率比較
危険物取扱者には乙種1〜6類のほか、甲種・丙種があります。乙4以外の乙種(1・2・3・5・6類)の合格率は、年度によって60〜70%程度になることも珍しくありません。
これは前述のとおり、すでに乙4を保有し法令・物理化学が免除された受験者が多いためで、単純に「乙4より簡単な試験」というわけではない点に注意が必要です。
甲種は乙種よりも扱える危険物の範囲が広い上位資格で、受験には化学系の学歴や実務経験などの受験資格が必要です。
合格率は年度により変動しますが、乙4とおおむね同水準か、やや低めで推移する年もあります。
丙種はガソリン・灯油・軽油など限定された危険物のみを扱える資格で、試験科目が少なく、乙4より易しい位置づけです。
このように比較すると、乙4は「危険物取扱者の入り口として最も受験者が多く、その分だけ合格率が数字上は低く見える資格」と整理できます。
乙4は本当に難しい資格なのか
ここまでの内容を踏まえると、「乙4の合格率30%前後」という数字だけで難易度を判断するのは早計だとわかります。
合格基準は各科目60%以上とオーソドックスで、出題内容も市販のテキスト・問題集の範囲を大きく超えるものではありません。
実際、化学系の資格の中では比較的取り組みやすい部類に位置づけられることが多く、市販の参考書1冊と問題演習で合格を勝ち取っている受験者も数多くいます。
「理系じゃないと厳しいのでは」という不安を持つ方も多いですが、乙4で問われる物理・化学は、中学〜高校基礎レベルの内容が中心です。
計算問題も限られたパターンの反復が中心のため、暗記と演習量でカバーできる範囲が大きい試験だといえます。
独学で合格できるのか
乙4は独学での合格が十分可能な試験です。
受験資格が不要で、出題範囲も市販教材でカバーできる範囲に収まっているため、多くの受験者が独学で合格しています。
ただし、次のようなタイプの方は独学よりも通信講座の活用を検討したほうが効率的です。
- 学生時代以来、机に向かう勉強習慣がほとんどない
- 物理・化学に強い苦手意識がある
- 仕事が忙しく、学習時間を細切れにしか確保できない
独学の場合は「10日で合格」系の入門書や、市販の一問一答形式の問題集を1〜2冊に絞り、繰り返し解くのが王道です。
教材を何冊も広げるより、1冊を完璧にする方が合格への近道になります。
乙4合格に必要な勉強時間の目安
一般的に、乙4合格に必要な学習時間は40〜60時間程度が目安とされています。
1日1時間の学習であれば1.5〜2ヶ月、休日にまとめて学習する場合はさらに短縮も可能です。
すでに理系のバックグラウンドがある方や、危険物の基礎知識がある方であれば、これより短い時間での合格も十分に狙えます。
逆に、法令の暗記に時間がかかりやすいため、「物理・化学は得意だから大丈夫」と法令を後回しにすると、直前になって時間が足りなくなるケースが多い点は注意しておきましょう。
一発合格するための勉強法のポイント
一発合格を目指すうえで押さえておきたいポイントは次の3つです。
- 3科目のバランスを崩さない:合計点ではなく各科目60%以上が条件のため、得意科目に偏らず、苦手科目こそ早めに手を付けることが重要です。
- 法令は「理解」より「暗記」で割り切る:指定数量や届出先など、法令科目は暗記量で得点が安定します。理屈を追いすぎず、頻出項目から機械的に覚える方が効率的です。
- 過去問・予想問題を繰り返す:出題パターンはある程度固定されているため、テキストを読み込むよりも問題演習の回転数を優先した方が得点に直結します。
この3点を意識するだけでも、独学であっても十分に合格ラインへ到達しやすくなります。
不合格になりやすい人の特徴
一方で、次のような受験者は不合格になりやすい傾向があります。
- 直前の詰め込みだけで、法令の暗記が中途半端なまま受験する
- 物理・化学の計算問題を「捨て問」として最初から対策しない
- 問題演習をせず、テキストの通読だけで終えてしまう
- 3科目のうち1科目だけ得意で、他2科目の対策が手薄になる
いずれも「勉強していない」というより、「対策の配分を誤っている」ケースが目立ちます。逆にいえば、科目ごとに必要な学習量を把握し、まんべんなく対策すれば、合格率の数字ほど厳しい試験ではないということです。
会社から「今年中に乙4を取ってほしい」と言われたものの、学生時代から勉強はほとんどしていない、化学も暗記も得意ではない そんな状態で独学に踏み切れず、ネットで情報を探している方は多いのではないでしょうか。&[…]
まとめ
乙4の合格率は令和6年度31.7%、令和7年度31.9%と、数字だけを見れば「3人に1人しか受からない試験」に見えます。
しかしその背景には、受験者数が圧倒的に多いこと、資格試験に不慣れな社会人が多く受験していることなど、試験内容そのものの難しさとは別の要因が大きく関わっています。
出題範囲は市販教材でカバーできる範囲に収まっており、3科目のバランスを意識した学習を40〜60時間程度積めば、初心者でも十分に合格を狙える資格です。
合格率の数字に必要以上に身構えず、まずは1冊のテキストと問題集を決めて、法令・物理化学・性質消火をバランスよく回していくことから始めてみてください。


